FigmaのQ1売上高は46%増の$333.4 millionとなった。GoogleによるStitchの更新後、Figma株は1日で7.98%下落し、August 2025のIPO時を約80%下回る水準と報じられた。顧客の支出が増える一方、投資家は、デザイン作業の起点に対するFigmaの支配力が弱まると見込んだ。AIエージェントが初稿を作れるなら、企業は何をFigmaに管理させるために料金を払うのか。

要点

  • FigmaのQ1売上高は46%増の$333.4 millionとなった。生成AIを使ったデザインツールが登場しても、企業によるFigmaの業務フローソフトウェアへの需要は、まだ衰えていない。
  • 戦略上の脅威は、機能の優劣から、顧客の最初の依頼を誰が受け取るかへ移っている。StitchとClaudeはデザイン作業の起点を握り、CodexとChatGPTは専門ツール間の振り分けを担える。
  • 制作が別の場所で始まっても、共通部品、組織固有の情報、確認、実装への引き渡しは必要であり、Figmaは引き続き不可欠な存在になり得る。
  • 持続的な競争優位を築くには、AIが生成した成果物に構造、来歴、権限、社内基準への適合、本番投入の承認を与える関門へと進化する必要がある。

Figmaはデザインファイルを連携の中核にした

Figmaは、デザイン業務を支える仕組みそのものを変えることで市場に参入した。2015年、Adobeのデスクトップソフトウェアに代わる、ブラウザー上の共同作業ツールとして登場した。ブラウザーから利用できるため、デザイン成果物そのものが、専門家同士で作業する共有の場になった。

Quarterly coverage volume: FigmaCoverage of Figma by quarter, 2024 Q2 to 2026 Q2: from 2 to 4 articles per quarter, peaking at 17.peak 1742024 Q22026 Q2
Quarterly coverage · Figma · 2024 Q2–2026 Q2

Figmaのブラウザー中心の仕組みでは、複数人の同時参加、意見交換、修正の反復が、デザイン成果物に初めから組み込まれていた。2019年に公開したCommunityでは、公開プロフィール、共有、再編集、制作途中の成果物の発見へと、この考え方を広げた。制作画面の周囲に、人、慣行、再利用可能な成果物が蓄積されていった。

Figmaは、デザイナー、開発者、組織内のほかの関係者を結ぶ中核にデザインファイルを据えた。意思決定や依存関係がそこに集約されるほど、画面の見た目だけを別の場所へ移しても、業務の流れはFigmaに残った。

AIエージェントによって画面生成の費用は下がる。それでもFigmaには、各画面をめぐる共通言語、確認手順、組織の記憶、実装への引き渡しが残る。作業の出発点がAIエージェントであっても、連携の場としてFigmaに集まることはできる。

企業はFigmaを買い続けている

FigmaのQ4売上高は前年同期比40%増の$303.8 millionで、予想の$293.15 millionを上回った。続くQ1売上高は46%増の$333.4 millionとなり、予想の$313.2 millionを上回った。経営陣は、AI機能の収益化と利用拡大を理由に通期見通しを引き上げ、Q2についても市場予想を上回る見通しを示した。

FigmaのQ4売上高の前年同期比成長率
FigmaのQ1売上高の前年同期比成長率

企業は、互換性、確認作業、情報共有、実装への引き渡しのために利用枠を買い続けており、Figmaはその需要の中でAI機能を収益化している。新しい作業を基盤モデルや開発支援エージェントで始めるようになっても、企業はFigmaの利用枠を維持できる。Figmaの利用需要が弱まるより先に、Google、Anthropic、OpenAIが、顧客との最初の接点や作業全体の指揮権を握る可能性がある。

初稿は希少な成果物ではなくなりつつある

GoogleによるStitchの更新は、この変化を明確に示した。自然言語で指示するだけで、AIを前提に設計された制作画面に精細なUIを生成でき、設計を支援する推論型エージェントが、その作成と修正を手助けする。利用者は、欲しい画面を言葉で説明するところから始める。

Anthropicと共同で公開したFigmaのCode to Canvasは、Figmaの外で始まった作業を受け入れる。利用者はClaude Codeが生成したコードを取り込み、編集可能で共同作業に対応したデザインへ変換できる。

デザイナーはコードからデザインへ移ることができ、指示文からはコードもデザインも生成できる。Figma Makeも同様に、指示文からアプリを作る。

その後、Anthropicは、画像、試作品、スライドなどを作成するClaude Designを発表した。その数週間前には、Figmaを含む企業に意見を求めていた。Anthropicは、提携先のソフトウェアが後から受け取る仕事を、自ら生み出す準備を進めていた。

企業が扱う中心は、実行可能な形へ落とし込める設計要件へと移りつつある。同じ依頼から、画面案、コード、AIエージェントが修正した成果物のいずれも作れる。その要件は次の作業環境へ自在に移せるため、Figmaは最初の依頼を受け取らなくても、共同作業の集約先であり続けられる。

Figmaはエージェントから呼び出される一機能になり得る

AIエージェントが顧客との窓口となり、必要に応じてFigmaをツールとして呼び出すことができる。利用者が目的を伝えると、エージェントが各種サービスを組み合わせて成果物を評価し、専門アプリケーションはそのやり取りの背後で動く。

OpenAIは、反復可能な業務の手順を標準化するため、Figma、Notion、Gmail、Slackを含む20以上の初期連携先に対応したCodex pluginsを公開した。それ以前に試験提供されたChatGPT appsでも、FigmaとCanvaが対話画面に組み込まれていた。どちらの場合も、作業の開始と振り分けをエージェントが握る。

Codexはツールを選び、ツール間で情報を引き継ぎ、完成した成果物を返せる。専門アプリケーションは、OpenAIの画面から必要に応じて呼び出される機能になる。

階層 企業と製品 主導権を握る接点
依頼の起点 Google Stitch, Claude Design 最初の指示と生成される代替案
エージェントによる統括 Codex, ChatGPT apps 作業の開始、情報の保持、ツールの振り分け
専門業務の流れ Figma, Adobe, Canva 編集、共同作業、確認、再利用可能な素材
本番環境 コードベースと統合開発環境 実行可能な成果物と提供

GoogleとAnthropicが最初の依頼を受け取る場面は増え、OpenAIはツール間の作業を振り分ける。企業が、指示をやり取りした時間が終わった後も残る、共有可能で検証可能な成果物を必要とする限り、Figmaには交渉力が残る。

投資家が重視するのは顧客との最初の接点だ

Adobeでも、事業の実績と株式評価のずれが表れた。Q2売上高は前年同期比13%増の$6.62 billionとなり、通期の売上高と利益の見通しも引き上げた。それでも株価は時間外取引で5%以上下落した。

Adobe、Canva、CapCutは、各社の編集機能をGeminiに組み込んだ。その後Googleは、米国のAI Mode利用者がCanvaと接続し、操作できるようにした。Geminiは今や、専門編集ツールへの入口になり得る。

Stitchの更新後、Figma株は7.98%下落し、August 2025のIPO時を約80%下回る水準になったと報じられた。この株式市場の反応は、Googleが新たに得た顧客接点の価値をただちに織り込んだ。一方、Figmaの売上高には、顧客需要の拡大が引き続き表れていた。

投資家は、機能の幅広さよりも顧客接点を高く評価している。Adobe、Canva、Figmaは、利用枠、業務の流れ、組織内の基準から収益を得るため、既存製品にAIを組み込む。Google、Anthropic、OpenAIは、自社の基盤上で始まり、完結する依頼が増えるほど恩恵を受けるため、専門アプリケーションを道具として組み込む。双方は連携を通じて協力しながら、顧客との関係をめぐって競争できる。

企業のデザイン責任者には承認の関門が必要だ

2025年には、開発者の84%がAIツールを利用しているか、利用を予定していた一方、その精度を信頼していた割合は33%にとどまり、2024年の43%から低下した。信頼感が薄れる中でも、開発者による導入は加速した。

Figmaは、この隔たりに持続的な価値を築ける。Claudeが生成した決済画面を確認するデザイン責任者は、ボタンに承認済みの部品が使われているか、操作方法がアクセシビリティ基準を満たしているか、例外を誰が承認したか、どのコードが本番投入されるかを把握する必要がある。生成によって時間を短縮できるのか、それとも後工程に手直しを押しつけるだけなのかを判断するのは、デザイン責任者だ。

Code to Canvasを使えば、コードから始まった成果物を編集可能で理解しやすく、共同作業に適した形にできる。同時に、それをめぐる意思決定も残せる。

Figmaは、承認済みの部品、権限、確認結果に、こうした検査を組み込める。デザイン責任者は、実装へ引き渡す前に、AIエージェントの成果物を唯一の正式な基準と照らして確認できる。

Figmaの外部連携では、ツールをまたいでも組織固有の情報が失われないようにする必要がある。Stitch、Claude、Codexなどのエージェントが、その情報を持たないまま画面を本番投入まで運べるなら、既存の業務フローは移行を防ぐ壁ではなく、動きを遅らせるだけの負担になる。

競争優位は「関門」へ移る

顧客は、共同作業と組織の記憶に対価を払い、Figmaの売上高を46%押し上げた。一方、投資家は、Stitch、Claude、Codexで始まる仕事をFigmaが引き続き統制できるのかを疑い、株価を1日で7.98%押し下げた。

Figmaは、11年間にわたって培った共同作業の習慣を、実効性のある業務統制へ変えられる。生成された意図に、構造、来歴、承認、本番投入に向けた意味を与える場所になるということだ。本番投入の前に、AIエージェントがFigmaの部品と権限を必ず通過するなら、制作画面は、どこで作られた初稿であっても統制できる。初稿はありふれたものになりつつある。希少になるのは、最終判断を下す関門だ。

AIエージェントが進化する一方、Figmaの業績は堅調だった

  • 2025-10-07 — OpenAIは、Figmaを含むChatGPT appsの試験提供を発表し、デザインツールを対話画面に組み込んだ。
  • 2026-03-27 — OpenAIは、Figma、Notion、Gmail、Slackを含む20以上の初期連携先に対応したCodex pluginsを公開した。
  • 2026-04-18 — AnthropicによるClaude Designの公開を受け、Figma株は6.84%安で取引を終えた。
  • 2026-05-14 — Figmaは、Q1売上高が前年同期比46%増の$333.4 millionとなり、予想の$313.2 millionを上回ったと発表した。株価は時間外取引で8%以上上昇した。
  • 2026-06-12 — AnthropicがClaude Designを発表する数週間前に、Figmaを含む企業へ意見を求めていたと報じられた。

よくある質問

AIによってFigmaへの需要は減っているのか

現時点では減っていない。FigmaのQ1売上高は前年同期比46%増の$333.4 millionとなった。経営陣はAI機能の収益化と利用拡大を理由に、通期見通しも引き上げた。

Google Stitch、Claude Design、OpenAIは、どのようにFigmaを脅かすのか

StitchとClaude Designは最初の指示を受け取り、画面を生成できる。一方、OpenAIのエージェントは作業を開始し、複数のツールへ振り分けられる。完成した成果物が後からFigmaに入るとしても、基盤モデルを提供する企業は、顧客との最初の接点と作業全体の指揮権を握れる。

AIが画面を生成できるのに、企業がFigmaへ料金を払い続けるのはなぜか

企業に必要なのは初稿だけではない。承認済みの部品、アクセシビリティ検査、権限、確認履歴、共有情報、開発者への引き渡しも必要になる。どこで作られた成果物であっても、Figmaがこうした要件を統制できるなら、その価値は残る。

Figmaの戦略においてCode to Canvasはどのような役割を担うのか

Code to Canvasは、Claude Codeが生成した成果物を、編集可能で共同作業に対応したFigmaのデザインへ変換する。すべての案件をFigmaの制作画面から始めさせるのではなく、コードから始まった成果物を確認し、整理する集約先になるための機能だ。

FigmaのAI時代の競争優位を持続させるには何が必要か

AIエージェントの成果物が本番投入される前に、Figmaのデザインシステム、権限、承認手順を必ず通る仕組みが必要になる。エージェントが組織固有の情報を直接、本番コードまで引き継げるようになれば、Figmaに組み込まれた業務フローは、防御力のある関門ではなく、移行を妨げるだけの負担になりかねない。